セラピストにむけた情報発信



文献紹介7−運動行動の学習と制御



2008年9月29日

今回紹介する本は,運動学習や運動制御に関する基礎的な問題のうち,主として心理学的な視点から見て重要なものを,わかりやすく紹介している本です.

麓信義(編)運動行動の学習と制御 ―動作制御へのインターディシプリナリー・アプローチ― 杏林書院,2006

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執筆者のほとんどは,運動学習研究会に参加するスポーツ科学系の研究者です.各章では,運動の量的・質的測定の基礎,運動生理学,運動の記憶や学習の基礎,運動制御の基礎,状況判断,生態心理学,といったトピックスが取り上げられています.

この本は,特に初めて運動制御や運動学習の問題を専門的に勉強する方にとって,役に立つとかもしれません.

私たちの研究室には,リハビリテーションや栄養学など,他領域から進学した大学院生が多く,研究に関する体系的な知識を持っていない院生のほうが多い状況です.このため,ゼミでは日本語の文献抄読を通して,運動制御や運動学習の基礎を学ぶことから始めます.今回紹介した本の各章は,このようなゼミで読む資料として役に立つことを実感いたしました.同じような境遇のセラピストの方々にもご活用いただければ幸いです.

私自身は,状況判断に関する章を担当いたしました.歩行のような日常動作の背景にある状況判断の基礎的な特性についてご関心のある方は,是非ご覧ください.
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